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ここがいらつく Office for Mac

■MacBook Pro macOS Monterey
バージョン 12.6

■Microsoft 365 Apps for businessサブスクリプション
(旧称 Office 365 Business)
バージョン 16.67 (22111300)

「Excel でも PowerPoint でも、Word でもMac版があるし、WindowsPC から MacBook に乗り換えようと思うのだけど」といった相談を受けたら……自分なら積極的には乗り換えは勧めない。

MacBook にしたら仕事が格段にやりやすくなるとか、MacBook 自体に何かの利点があるならそれでよいけど、そうではなくて、単に「Office は Mac でも使えるし」みたいな漠然とした理由なら乗り換えは止めておくことをお勧めする。

Windows版Officeでなら当たり前にできることで、Mac版ではできないことがちらほらあって、致命的ではないけれど「前はできたのに……」といらつくことがあるから。
"致命的ではない" という点が、また腹立たしいところ。

■Excel for Mac
・「データ」の「リスト」の欄に「名前付き範囲」を入れたいときに、F3 キーで名前付き範囲の一覧を呼び出せない。
「リスト」の機能をよく使っている人だと、この面倒くささを共感していただける人がいるのではないか。

Windows版だと F3 キーで「名前付き範囲」を呼び出せる。

Mac版で同じことをしようとすると、先にセル範囲につけた「名前」を確認して控えるなりしておいて、手入力する。
だって、一覧を呼び出して選べば入力されるという機能がないんだもの。

先に確認しておけば済む話ではあるから "致命的ではない" んだよねえ。それが、また……。

・「条件付き書式」の入力欄や「データ」の「リスト」の入力欄にカーソルを置いて F2 キーを押しても編集モードにならない。
なんのことかぴんとこない人も多い気がするが、これがまったくもって腹立たしい。

「条件付き書式」の入力欄や「データ」の「リスト」の入力欄を書き換えようとしてカールを動かしたら、関係のないセル参照が入って元々あった数式が消えちゃうとかを経験した人はいると思う。
これ、Windows版でなら入力欄にカーソルを置いて、F2 キーを押すと自由に編集できるようになる。やってみればわかる。

ところが、Mac版Excelだとそうならない。

いや。「なる」ことは「なる」のだけど、「F2キーを押して自由に編集できるようにするには → いったんカーソルを動かして、不要なセル参照を欄内に入れる → そのあとなら、F2キーで自由に編集できる」ようになる。

つまり、いったん不要なセル参照を入れてからでないと、F2 キーが効かないという妙な仕様になっている。

よく使う人は「イラッ」ってするでしょ?
でも、"致命的ではない" んだよねえ。「F2 キーが使えない」わけではないから。
だからそれがさあ……。

■PowerPoint for Mac
・図形の寸法を指定して印刷できない。
Windows版の PowerPoint では、スライド上に描いた図形の「高さ」と「幅」を数値 (cm) で指定してその通りに印刷できる。
それがMac版では指定した寸法で印刷できない。

プリンタやプリンタドライバのせいではない。
だって、Word for Mac なら指定した寸法での印刷ができる。なので、必要なときは Word で乗り切る。

「できるならいいじゃん」という問題ではない。
Windows版でなら当たり前にできることを、Mac版でも当たり前にしてほしいのだ。

というか、使っているのは Microsoft 365なんですよ。
「利用料」を取っておいて、できて当たり前のことができないというのはちょっとどうなんだ?

マイクロソフトさんはこのことに気づいていないとは思えない。

たぶん、"致命的ではない" から改善の優先度が低いのだろうと想像している。
"致命的ではない" ……から。

・段落の上下を入れ替えるショートカットキーがない。
Windows版 PowerPoint にはある。Alt + Shift + ↑(↓)。
ちょっとしたことなんだけど、だからこそできないと「イラッ」となる。

Word for Mac には「ある」のに。Shift + control + ↑(↓)。

PowerPoint for Macで、段落の上下を入れ替えるには、上(下)の段落を選択して→切り取って→1つ下(上)の段落前にカーソルをおいて→貼り付ける。
段落の上下を入れ替えるショートカットキーがほしくならない?

"致命的ではない" ……けど。

・図形にロックをかける(外す)機能がない。
これはそのうち実装されると思うが。
Windows版 PowerPoint には、図形の寸法を変えられないようにロックする機能がある。
しかし、PowerPoint for Mac にはそれがまだない。
ということで、Windows版 PowerPoint で図形をロックしてあるファイルをもらうと、Mac側ではその図形については大きさを変えられない。

だって、ロックを外す(かける)機能がないのだもの。

そんな目に遭ったらやれることはただ1つ。
WindowsPCを用意してそちらでファイルを開いてロックを外して、それからmacOS環境にファイルをもってくる。

そんなに何度もあることではないけど、遭遇したら面倒なのですよ。
"致命的ではない"……けどさあ。

■Word for Mac
・自作のスタイルが何かの加減で突然くずれる。
せっかく作ったスタイルが適用してもその通りになってくれないことがある。
これが起きると、いうことをきかなくなったスタイルを削除して、もういちど作り直す。
どんなときに起きるのか因果関係がわからないので、根本的な対処もできない。

でもこれは、自分の使い方が悪いのかもしれないとちょっと思っている。
けれど、それにしてもWindows版では、「自作スタイルがくずれる」なんて目に遭ったことがなかった。

"致命的" ではない。ないですけど……。

■「最近使ったファイル」の一覧を一括で削除する機能がない。
macOS版の Excel, PowerPoint, Word について同じ。
Windows版では、「最近使ったファイル」の一覧を一括で削除することができる。

使ってきたファイル名にクライアント名や個人名が入っていて、他者に見られたくないから一気に削除しておきたいときがある。
それが、Mac版ではできない。
(そもそも「最近使ったファイル」の一覧に表示する数を指定できない。Windows版ではできる。)

地道に一つひとつ「選択して削除、選択して削除、選択して削除、もう一つ選択して削除、また選択して削除、なお選択して削除、まだ選択して削除、それでも選択して削除……」と、三途の川の賽の河原で石を積み上げるような作業が必要になる。

"致命的ではない" ですけど、一括削除の機能をくださ〜〜い!
最低でも、「最近使ったファイル」の一覧数を指定できるようにしてほしいです。だって、Windows版ではできますもの。

以上、ここがいらつく Office for Mac。
「そんな機能はあんまり使わんなあ」という人や「"致命的ではない" ならそれでいいや」という人は問題なし。お好きにどうぞ。

・追伸
Excel for Mac の Power Query では、Windows版(「データの取得」)でできることの一部しか同じことができないというのも恨みがまさしく、ネチネチと指摘したかったけど、これについてはマイクロソフトさんからMac版に「実装する」という公式アナウンスが出ているので、ここはありがたく待つことにする。

実装がいつになるかはわからないけど。

言い方を変えると、Windows版の Excel で「データの取得」をフル活用している人は、いまは絶対にMacに乗り換えてはいけない。
できていたことができなくなる場合があるから。

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