今年(2015年)は、フランスからアメリカへの自由の女神寄贈130周年だとか。
Wikipedia をちょっとのぞいてみた。
(なので、ここからの詳細を鵜呑みにしないように。)
自由の女神は、アメリカ合衆国の独立100周年を記念してフランスから贈られた。独立運動を支援したフランスの人たちの募金によるものらしい。
フランスの彫刻家フレデリック・オーギュスト・バルトルディ ( Frederic Auguste Bartholdi ) がデザインを、内部構造はエッフェル塔を設計したアレクサンドル・ギュスターヴ・エッフェル ( Alexandre Gustave Eiffel ) が手がけたのだとか。
エッフェル塔を設計したのはエッフェルという人だってことを僕は初めて知ったよ――。
自由の女神には正式名称があって、"Liberty Enlightening the World" (世界を照らす自由)というのだそう。
"Statue of Liberty" というのは有名だけど、それが正式名称ではなかったというのも初めて知ったぞ――。
自由の女神はフランスで作り上げられたあと、300のパーツに分けられてアメリカに送られたということだけど、そもそもフランスでの完成までに10年かかったのだとか。
10年だって。何とも気の長い話だ。
仏:こんにちは。アメリカさん。独立運動100周年だってねぇ。
米:そうなんですよ。フランスさん。どうもありがとうございます。
仏:そうだ! お祝いに「記念像」をプレゼントさせてくださいな。
米:いや。そんなお気遣いなく。ご迷惑でしょうから。
仏:なんのなんの。これぐらいさせてくださいよ。めでたいことじゃないですか。ああそうか! こちらの都合で差し上げるといってもお邪魔になるといけませんな。置き場所とか大丈夫ですか?
米:ええ、まぁ。さいわい空いてる土地だけは馬鹿みたいにありますから。大丈夫なんですが、やっぱり「像」なんてお手間でしょうし、わるいですよ。
仏:ぜんぜんですよ。置き場所があるというならぜひプレゼントさせてください。ぜひ。ねっ? 「像」はお嫌いですか?
米:いえいえ。そんなことないです。嫌いだなんて。ないですよ。
仏:じゃ、いいじゃないですか。もらってやってくださいな。記念ですから。
米:そうですかぁ。まぁそうおっしゃっていただけるのでしたら、ありがたく頂戴いたします。
仏:そうですよ。アンタとことうちの間柄じゃないですか。遠慮なんてわきに置いておいてですよ。
米:ほんとにすみません。ありがとうございます。
…………
米:あのぉ、フランスさん。
仏:なんでしょ、アメリカさん。
米:例の「記念像」のことなんですが……
仏:ああ! すみません! 実は時間がかかってまして。いや失敬、失敬。でもですね、必ずお届けしますから。それはもう絶対にお約束いたしますから。ご心配なく。
米:いやいや。頂けるってものをせかすようなことをしてすみません。そうですよね。いろいろそちらもお忙しいでしょうからね。すみません。催促するような真似をして失礼しました。
仏:いえいえ。こちらこそちゃんとご連絡しなくてすみませんでした。
…………
米:あのぉ、フランスさん。
仏:なんでしょ、アメリカさん。
米:きねん、ぞう……なんですけどね……
仏:ああ! すみません! ほんと申し訳ない。面目ない。いやね、なにかとありまして。でも、必ずお届けします。それはもうアメリカさんとの約束ですからね。ええ。必ず。必ずお届けに上がりますから。ただ、もう少しお時間をいただけますか。
米:そうですよね。お忙しいですものね。ご都合もあるでしょうし。大丈夫です。じゃ、うちは場所の確保をすすめておきますよ。さぁといってすぐに置けるものではないですからね。いい場所がいくつかあるんですよ。なかでも最高のところを選ぶようにしますからね。それはもう、後世に残して恥ずかしくない場所を。なんせ、フランスさんからの頂きものですからね。
……10年もかかったら、とかなんとかいったやりとりもあったろう。たぶん。
なんだかんだでアメリカに着いたのが1885年。完成したのは1886年。組みあげるのに1年を要したということか?
組みあがった自由の女神――像の頭の部分まで台座部分も含めると93メートル(305.1フィート)という高さ。
1800年代に100メートル近い建造物を作れたというのは、すごい技術なんだろうな。たぶん。
日本で背が高いといえば、古くは東京タワーか通天閣か。
実はこの二つは設計者が同じ。早稲田大学教授の内藤多仲(ないとう たちゅう)という人。教授が設計した通天閣が今ある通天閣で、2代目になる。
通天閣が2代目だというのも、東京タワーを設計した人と通天閣を設計した人が同じだというのも初めて知ったぞ――。
さっきから初めてづくしだ。まぁいい。何にでも "初めて" というものはあるもんだし。
いや。深い意味はない。あんまり気にしないように。
初代の通天閣は1912年(明治45年)に作られた。設計したのは建築家の設楽貞雄(しだら さだお)という人。高さは約75メートルだったとか。
自由の女神から30年近く経っても、同等の高さの建造物を日本の当時の技術では作れなかったのか?
あるいは、作れたけどしなかったのか。はたまた遠くアメリカの地にある像の高さなど誰も気にせず、競うつもりもなかったか――。それはわからない。
その後、初代は火災の影響で取り壊し。2代目通天閣は、1956年(昭和31年)に完成。高さは地上100メートル。
初代よりも高いというところに内藤教授の技術者としての意地のようなものを僕は感じる。
「どうせ新しく建てるなら初代よりも優れた技術を使ってより高く……」と教授が考えたとしてもおかしくないと思うけど、どうでしょ?
たぶん当時、「見上げるような高さのある建造物を設計した実績がある」のは、国中探しても内藤教授しかいなかったんだろうな。
東京タワーがスカイツリーに役目を譲った現在。もし、内藤教授がスカイツリーを見たら何と言うだろう。技術の進歩に感無量かもしれない。
そして、極東の敗戦国に建った2代目通天閣から見下ろされ、今またそのさらに上空から見下ろされているのを、"あの戦い" に勝った地にある女神はどう感じているだろうか。
おそらく彼の女神は、そんなことをどうとも感じていないと思う。なんたって自由の神様だから。
僕は何の宗教も持たないけれど、今は自由の女神に願いたい。
女神様。どうかこの国のすべての人々が、武力攻撃をすることも、巻き込まれることもありませんようにお守りください、と。
最近のコメント