機忍兵零牙
月村了衛(つきむらりょうえ)の『機忍兵零牙』(ハヤカワ文庫JA)を読了。
いやぁ、面白かったなぁ。僕はこういう話が好きだ。
超忍者バトルっていえばいいのかな。これは滾るよなぁ。
ここでいう超忍者バトルっていうのは、「人間業とは思えないほどの忍びたちの戦い」ではなく、人間の壁を越えてるお話。
「通常の人間ではない能力をもった忍びたちの戦い」だから。
「零牙」「星牙」「蛍牙」「弓牙」からなる4人の「光牙者」たちの活躍が、いやまぁもうかっこいいやらなんやらで。
城主の最後の依頼は、姫とその弟を守り抜くこと。光牙者は請けた使命は必ず守るのだ。
零牙の技は、ここにいながらどこにもいない。どこまでも悪を追うぜ。沈着冷静かと思いきや、熱い感情も見せる。
旧友との再開のくだりは、熱いよ。やっぱり、次元が違おうがなんだろうが妻への愛は変わらないんだねぇ。だけど、どうしてそうなってしまったんだぁ! 愛するが故の迷いというやつなのか。
蛍牙と蛍牙のやりとりには泣かされたよ。←これ、誤字じゃないよ。
切なすぎるぞ。でも、"あんなこと" になっても見事に蘇った「蛍牙」。いつかは、みんなで笑って "納まりたい" よね。何に? 詳しくは本書で。
星牙。いや。「星牙姉さん」と呼ばせてもらおう。姉さんの技の凄いことといったら。そりゃ、あれではだれも追いつけないわな。
弓牙。読んで字のごとく、なんて手あかがついた表現を使わずにはいられない技の使い手。確かにこいつが敵側にいたら、どこに隠れてもどうやって隠れても何の意味もない。恐ろしい技だ。光牙者でよかったよ。
そんな零牙たちに襲い掛かるのは支配者集団「無限王朝」が配下の「骸魔六機忍」。
これまた恐ろしくも最強の技をもった難敵。さしもの光牙者たちもその戦力を削られていく。
あぁ、4人の光牙者は、姫と若君を守り抜くことができるのか。
できなきゃ話にならないでしょ、って思った人。ちょっと違うんだよねぇ。知りたければ読むしかない。「続きはWebで」なんて無いからね。
ということで、ただ一つの理由のもとに闘い続ける光牙者たちのひたむきな姿が、僕にはとても心に響いた一作でした。
ぜひ続編を出してほしいぞ。
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