「確信犯」を使う人を増やそう。
小学館の国語辞典「大辞泉」の調査によると、「本来と異なる意味・言い方で使用される言葉ランキング」の第1位は「ハッカー」だった、とかいうニュースを見た。
まぁけっこう以前から言われ続けていたことではある。「ハッカー」というのは、「コンピュータやその関連技術に非常に詳しい人」であって、「不正なアクセスをする人」ではないという話は。
後者は「クラッカー」だったかな。
第2位は「確信犯」だとか。
「悪いとわかっていながらやる犯罪、間違ったこと」といった意味で使う人が多いのだとか。僕もそうだけど。
もともとの意味は、「信念に基づいて,自らの行為を正しいと信じて行う犯罪」のことだってさ。
たしかに、あらためて考えてみれば、前者の意味で「確信犯」を使うのはやっぱりおかしい。
(誤解がないように再度ふれておくけど、僕も前者派。だから、この記事には前者の意味で使う人を責めたり馬鹿にしたりする意図はない。)
なぜか? だって、犯罪なんてそもそも「悪い」と思いつつやるもんでしょうが。だからこそ、犯罪を犯そうとする人間はそのことをばれないようにするのだろうし。
もし、「悪いとわかっていながらやる犯罪」を表す言葉が「確信犯」だとしたら、盗み、詐欺、暴行その他もろもろ世の中のたいがいの犯罪は「確信犯」だよ。
だから、前者の意味で「確信犯」を使うのは、やっぱりおかしいと僕は思う。
(誤解がないようにもう一度ふれておくけど、僕も前者派だからね。)
「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」が正しい言葉の使い方だとしたら、とても面倒なことがこの国に起きる。やってみよう。
こうなる――
普通に(犯罪を "普通に" っていうのも変だけど)行う犯罪が「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」であるなら、この国に必要な新しい言葉は、「いけないことだと知らないでやってしまった犯罪」を一言で表す名詞のほうじゃないか?
そういう言葉をだれかが作らなければ、日々発生している「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」が「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」だと呼ばれることなく終わってしまう時代がまだまだ続くのだ。
どうする日本!? 我々はこのままでいいのか!?
「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」と「知らなかった犯」(いまは仮にこう呼ぼう)の区別をはっきりとさせなければ、「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」は未来永劫に「(悪いとわかっていながら)確信犯」と呼ばれることがないまま、犯罪を続けるだろう。
なんせ、僕も含めて、普段から発生している「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」を「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」と呼ばない人々がわんさかといる国なのだから。
――といった具合。
(またまたふれておくけど、僕も「悪いとわかっていながらやる」用法派だからね。)
なかなか面倒な世の中になりそうだ。
とはいっても、「(悪いとわかっていながらやる)確信犯」を使う人が多いことは、素晴らしいことだと僕は思っている。
だって、「確信犯」という言葉を「悪いとわかっていながらやる」という意味で使う人たちには、「悪いと思ったことはやらないでしょ」っていう気持ちがあるといえるから。
「悪いことだと思ったなら、普通はやらないよね。それを悪いことだとわかっていながらやるのは "確信犯" だよね」って言う人は、「悪いと思ったことはやらない人」だともいえるのだ。
だから、間違った使い方だろうが、本来とは異なった意味・使い方であろうがかまわない。
「確信犯」を「悪いとわかっていながらやる」という意味で使う人が増えるのは、とてもいいことなのだ。
悪いと思ったことはやらない人――つまり、「確信犯」を「悪いとわかっていながらやる」という意味で使う人――をもっと世の中に増やそう!
(最後にもう一回ふれておくけど、僕も「悪いとわかっていながらやる」用法派だからね。だから、この記事はそういう使い方で「確信犯」を使う人を馬鹿にする記事ではないからね)
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