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ドクター・メフィスト 若き魔道士

『ドクター・メフィスト 若き魔道士』(菊地秀行 著 祥伝社 ノン・ノベル)を読了。4年ぶりのシリーズ最新作。
前作は、同じノンノベルノで『夜怪公子』だったかな?

ファウスト魔術学校の先輩たちが登場。その彼らの設定が面白い。
人外の医療も魔戦も涼しい顔でやってのけるメフィスト。――その先輩方。さぞかし凄まじい力を持った面々だろうと思っていたら、世俗の生活にまみれて "なまくら" になっているという。
家政婦の派遣業(うまくいっていない)をどうにかこなしているお人もいたりする。「生活のため」らしい。同じ学舎から出て、大病院を運営している後輩メフィストとは、雲泥の差だ。

とはいえ、そこはメフィストの先輩だけあって、しっかりと人外の存在ではある。なんせ、彼らがドクトル・ファウストに学んでいたのは、千年以上前なんだとか。メフィストも含めて、あんたら今いくつなんだってレベルだ。

主人公の力が格下ってわけにはいかないので、先輩がなまっていたという設定にしたかな。
でも、もともとメフィストは、師匠であるドクトル・ファウストと並び称される伝説的な特待生という設定だから、単なる先輩では実力差は圧倒的・天文学的という前提はあるんだよなぁ。
なんてったって、ドクトル・ファウストの教えは、七万三千八百九十一教科という数らしいから。

そうか、ファウスト流の超絶技巧の使い手を何人も出しちゃったら話しがまとまりづらいからか。メフィストが目立たなくなるし。
それに、なまっているといっても高いレベルでの話しで、メフィストから見ればというだけ。なまっていても、 "あれだけの力" がある先輩たちとなれば、現役ばりばりのメフィストの凄さを、読み手に想像させるというもの。

さすがは、ストーリーテラーの菊地秀行。巧いよなぁ。にくいほどの設定だなぁ。

ちょっと想い出したけど、たしかメフィストって、実は"○○○の医師" なんだよな。(『魔界医師メフィスト 怪屋敷』 )
先輩っていうぐらいだから、少なくてもその点は、メフィストよりは確実に上なのか?

先輩たちのなかに1人女性がいたのにびっくり。ドクトル・ファウストに学んで、メフィストの周りにいた女性は、シビウしかいないと思い込んでたから。(『魔界医師メフィスト 魔女医シビウ』)
残念なことに、『魔女医シビウ』は未読。初出は92年で、文庫化もされてるのに……今では手に入りづらそう。読んでおけばかった。

正直、今回のラストは、僕としてはなんだかなぁな終わり方。もっとすっきりと決着を付けて欲しかったぞ。
それとも、 "落ちていったあの人" を今後ほんとに再登場させる気か。

ちょっとネタばれすると、 "黒い彼" がちらりと登場するのは、お約束。いい味を出していたと思う。
"私" も出てるよ。それから、 "黒い彼" の一族の過去もほんのわずかに少し。――そんなことしてたのねっという感じ。
『魔界都市ブルース』を読み親しんでいる人なら、にやっとできるサービス。
 
菊地秀行の新作はこの後も続くぞ。今週18日には、『吸血鬼ハンター D -魔性馬車』が出る。シリーズ21巻目だ。いろんなオンライン書店で予約受付中。

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