無貌伝~双児の子ら~
望月守宮(もちづき やもり)の『無貌伝~双児の子ら~ 』(談社ノベルス)を読了。
第40回メフィスト賞の受賞作。
僕にはちょっと物足りなかった。全体に漂っている雰囲気は好きなんだけどな。
昭和初期を思わせる仮の世界(東京が "藤京" とかね)、「ヒトデナシ」と呼ばれる妖物がいて、普通の人間もいる世界。
題名にある『無貌』というのは、そのヒトデナシのうちの1つ。
人間の顔を盗むという『無貌』に、顔を盗まれてしまった探偵 秋津承一郎と、その助手となった古村少年が、出向いた旧家で殺人と思われる事件が起こっていく。
事件の犯人。その動機と真相。ヒトデナシ 無貌との関係。
そういったちりばめられた謎が解決していくラスト。ヒトデナシという人ではない存在をストーリーでうまく使っているとは思うのですが。なんだかなぁという終わり方でした。
すごく面白くなりそうなのに、急いでたたみすぎたといった印象が僕にはしました。
途中で、無貌とある人物が出会う描写が、僕に言わせるとちょっとずるい。まぁ、ぎりぎりセーフだとは思うけど。読んでいて、あれっ? って違和感を感じたし。読み手が違和感を感じるように作者は書いたと信じたい。
この作品。感想を検索して探すと、否定的な意見が少ないように思えました。
次回作はもう決まっているようです。
次のが出たら読むかな。読まないかなぁ……雰囲気は好きだし、今後の無貌の動きが気にはなるので、読むと思う。
| 固定リンク
コメント