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ウルトラマンは『怪人』だった?

まずは、『怪人』と聞くとどんな存在を思い浮かべるだろうか。
悪の手先? 悪の首領? 世界征服や人類抹殺を計画している組織?

どれだけ待っていても、幾人に尋ねても、『怪人』と聞けば否定的な印象が続くであろう。
しかし、これが『超人』となれば、正義だとか勇気だとか平和だとか肯定的な印象ををあげる人が圧倒的に多いだろう。

未だかつて誰も同意してくれた人がいない話しなのだが、あの『ウルトラマン』も、かつては『宇宙怪人ウルトラマン』と呼ばれたことがある。
来週から新番組が始まるというときに、「来週からは、新番組『宇宙怪人ウルトラマン』が始まります」というアナウンスがあったと覚えている。

幼かった私の記憶に間違いがなければ……というはなはだ心許ない条件付きではあるが。

『宇宙怪人ウルトラマン』という呼称を現実に耳にしたことがあるという人はぜひ名乗り出て欲しい。
ウルトラマンは怪人だったということを、私と一緒に証明しようではないか ! そして、かつて怪人は正義の象徴であったということを広く世に伝えよう !

閑話休題。

少々興奮が過ぎたようである。

だが ! である。
かつて『怪人』と悪という印象は必ずしも同じ存在ではなかった。怪人とは、「常人ではありえない能力をもった正体不明の人型の存在」だったのだ。超人と怪人はニアイコールだったとも言えよう。

古くは黄金バットがそうだったと思う。彼 は正義の "怪人" だった。そして、黄金バットと並んで、ある年代の人なら絶対に知っている『宇宙怪人ゴースト』がある。

これなどタイトルにもろに "怪人" と付いている。それでも、彼は正義の味方なのだ。

とはいえ、幼心に、このタイトルの妙な収まりの悪さを感じていたのを覚えている。「なんで怪人なんだろう ?」と。
そのころすでに、怪人とは悪いやつというイメージが幼い私のなかにあった。誰に植え付けられたわけでもないだろうが。

いつから、怪人は悪となったのだろう。

『怪人』という呼称が、悪の象徴として一般的になったのは、『仮面ライダー』の登場が大きかったと思う。

世の中を騒がせる存在に対して怪人という呼称を使ったということでは、仮面ライダーの前に『怪人二十面相』があった。
しかし、たしかに二十面相は他人のものを盗む犯罪者ではあったが、どこかしら正義の香りをただよわせた存在でもあったのだ。基本的に、「人に傷を負わせたり、命を奪ったりといった残酷な行為はしない」というのが二十面相なのだから。
とはいえ、彼 ? は、他人に向けてピストルの引き金を引いたりもしている。

江戸川乱歩が怪人二十面相を連載したのは、戦前(1936年 昭和11年)であった。たぶん、そのころから怪人という言葉に悪という意味が添えられるかどうかの過渡期が始まっていたのであろう。

ついでに少し調べてみると、ウルトラマンは1966年(昭和41年)から67年(昭和42年)まで。そして、67年には宇宙怪人ゴーストが放映され、仮面ライダーが始まったのは1971年(昭和46年)である。
時代的にはウルトラマン→ゴースト→ライダーと並ぶわけで、ライダーが私の目に触れたのが一番遅い。ゴーストのタイトルに違和感を感じる影響を、幼かった私の心に与えたのは仮面ライダーではなかったわけだ。

怪人二十面相を経て40年近い間に過渡期は進み、怪人は正義という名の玉座からしだいに遠ざけられていったのであろう。宇宙怪人ゴースト(1967年)あたりが、その過渡期の終焉のころであったと想像する。以降、怪人は平和を脅かす悪の存在となっていく。

怪人を悪とした決定打は、やはり仮面ライダーであろう。
仮面ライダーの登場をもって、長く続いていた怪人の印象の混乱、というよりは怪人がもうわずかに漂わせていただけであったであろう正義の残り香が、はっきりと断たれたに違いない。

どこの誰かはわからない。でも、僕たちを守ってくれる『怪人』はもういない。

果たして、ウルトラマンは怪人であったのか。今となっては調べようがない。
しかし、私としては『宇宙怪人ウルトラマン』という呼称も、悪くないとは思うのだが、いかがだろう。

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