作家の皆さん。がんばって!
推理小説が好きです。探偵小説と呼ぶ人もいるけど。いわゆる「本格」と呼ばれるものが特に。
いろんな作品がありますが、なかでも「嵐の孤島もの」と呼ばれる作品が一番の好み。
他にも、「嵐の館もの」とか「吹雪の山荘もの」という呼ばれ方もしたりする。
わからない人にはさっぱりわからない表現だろうけど、「何らかの理由で孤島に集った人々。やがて嵐が到来し、外部との行き来も連絡も絶たれる。そんな状況で次々に起こる殺人事件。犯人は集まった中にいる。それは誰か? そして動機は?……」といったような展開をするのが「嵐の孤島もの」。
状況設定としての "孤島" の部分が、"山深くにある館" だったり、"吹雪の山荘" だったりするわけ。
とにかく、外から簡単に人が来られない、簡単に出て行くこともできないし連絡手段もないという状況で事件が起こるというのが、「嵐の孤島もの」
そういう事件を描こうとすると、今では読者の納得を得られる記述を絶対にしておかないといけないのが携帯電話。
昔は、固定電話だった。
たいていの場合、何者かが電話線を切っていたり、倒木か何かで偶発的に電話線が切れているという状況が書かれたのだけど、最近では携帯電話というものがある。
固定電話と合わせて使用不能という状況を設定しておかないと、「孤立した極限状態」なんて描きようがない。
そういうわけで、僕の好きな「本格」で「孤立した極限状態」の話には、固定電話と携帯電話が使えないという記述を必ず読むことになる。
作家さんとしても面倒なことだと思います。
そういえば、名前を忘れたけど、ある漫画家へのインタビューで「昔は机の上に電話があることを描くのに、視点をどの角度から描いてもそれが電話であると読み手に伝えることができた。今は視点を考えないと、机の上に単に四角い物があるとしか見えない」と言っていたのを読んだ覚えがあります。
黒電話の時代は、ちょっと輪郭だけ描いても電話だとわかるものね。
携帯電話も同じようなものか。
必ず一度は「携帯電話は使えない」という話を入れておかないと先へ進めない。
ああ、コンピュータもあるなぁ。
コンピュータが無いとか、有ってもインターネットは使えないという状況設定も必要になる。
時代が進めばもっといろんな情報機器が現れるはず。
情報機器の発達と「本格」の「孤立した極限状況」の設定の難易度は正比例するのだ。
作家の皆さん。いちファンとしてお気楽なお願い。これからも面白い作品をよろしく!
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