性犯罪を防ぐ社会的支援
年末年始と実家にいて、ニュース番組で奈良の女児誘拐殺人事件のことを見ていて感じたことがあります。
番組では、アメリカの「メーガン法」(*)を引き合いに出して、日本でもそういう法制化がもう必要な時代になったのではないかという指摘を行っていました。
僕も大筋では賛成です。具体的な運用は難しいでしょうが、そういう法制化を検討する必要がある時代になってしまったという想いはあります。
ただし、そもそも性犯罪者を増やさないようにどうするかという観点が、そのニュース番組ではあまり語られてなかったように感じました。非常に難しい課題ではありますが。
今回の事件の犯人は、聞いただけでも気味が悪くなる嗜好をもっていたようですが、そんな風に他人にはとても理解できないことをしている人は、世間にはたくさんいるでしょう。
他人が知ったらどんなに受け入れがたいことでも、犯罪になっておらず、周囲に迷惑もかけていなければ、それは個人の趣味の範囲です。
そして、そんな性的嗜好をもった人がみな性犯罪者になるとは限りません。単に個人の嗜好にとどめているだけの人もいるでしょうし、中には、そんな自分に悩んでいる人だっているでしょう。
あるいは、下着泥棒や痴漢など実際にもう罪を犯していても、止めたいけれどどうにも自分を抑えられないと苦しんでいる人もいるかも知れません。
すでに罪を犯してしまっていたなら、それはそれとして償わないといけませんが、悩んで苦しんでいる人たちが、安心して相談をすることができ、どうにかして嫌な自分を変えていく手助けができる社会的な仕組みも存在していた方がよいのではないかと僕は思います。
*1994年、当時7歳の女の子Meganちゃんがいたずらをされたあげくに命を奪われた。犯人は近所に住んでいた男性で、その男性には幼い子供への性犯罪の前歴があった。
Meganちゃんの遺族は、そうとわかっていれば何かもっと対応ができたはずだとして、子供に性犯罪を行った犯人の氏名を開示できる法律を設ける運動を起こした。その結果、1996年にはクリントン大統領(当時)の署名によって、全米で適用される連邦法として制定された。
メーガン法によって、前歴者の顔写真や氏名、住所も住民は知ることができるが、前歴者がいやがらせを受けたり、過剰に反応した住民によって襲撃されるということなどがあり、刑を終えて出所してきた人の人権問題として世論を騒がせたりもした。
現在では、性犯罪者たちへの差別や暴力は犯罪であるということが明記され、また、就職や保険加入などにおいて性犯罪前歴者を差別すると罰せられる決まりも設けられている。
| 固定リンク
コメント