不思議な"沈黙シリーズ"
アクション俳優 "スティーブン・セガール" の最新作「沈黙の聖戦」が、明日(2004年10月2日)公開されます。
"もうとても有名な話ですが" と前置きしないと言い出しづらいぐらい有名な話ですが、"沈黙シリーズ"というのは邦題としてそう名付けているだけで、各作品に同じ主人公が出てくるいわゆる "シリーズ" ではありません。
もちろんこの「沈黙の聖戦」も、いわゆる"続編" ではありません。
最初に"沈黙"という冠をつけて公開されたのは、「沈黙の戦艦」でした。(これが大ヒットしたわけですね)
そのあと日本で公開されたセガール主演の作品群のなかで、実際の続編(元SEAL(海軍特殊部隊)の先鋭で、いまは過去を隠して名料理人として暮らしている主人公ケーシー・ライバックの活躍を描いた作品)なのは、「暴走特急」だけです。
でも、「暴走特急」の前に、"沈黙シリーズ第2弾"として「沈黙の要塞」が公開されています。
物語として関連していない作品が、"第2弾"として公開された後に、本当の続編(なぜかこっちはタイトルに"沈黙"が付かない)が公開されるという変な事態に日本ではなっています。
各作品をよく見ればわかりますが、そもそも主人公の名前が違います。また、物語の背景も異なっています。
1992年「沈黙の戦艦」
(原題:Under Siege:セガールの役名 Casey Ryback)
1994年「沈黙の要塞」
(原題:On Deadly Ground:セガールの役名 Forrest Taft)
1995年「暴走特急」
(原題:Under Siege 2: Dark Territory:セガールの役名 Casey Ryback)
1997年「沈黙の断崖」
(原題:Fire Down Below:セガールの役名 Jack Taggart)
1998年「沈黙の陰謀」
(原題:The Patriot:セガールの役名 Wesley McClaren)
2001年「沈黙のテロリスト」
(原題:Ticker:セガールの役名 Glass)
2004年 「沈黙の聖戦」
(原題:Belly of the Beast:セガールの役名 Jake Hopper)
僕はなんだかすっきりしないものを感じます。
どこの誰がどんな理由で決めているのか知りませんが、個人的には"沈黙シリーズ"と呼ぶのは止めて欲しいです。
最初の大ヒットを受けて、あとに出たセガール主演の作品も似たようなタイトルを付けておけばそれなりにヒットするだろうというイヤらしい計算があるのではないかと考えてしまうのは無理ないですよね?
それにしては、本当の続編のタイトルに"沈黙"の文字が付いていないのも不思議な話ですが。
映画制作と配給の世界のなんともいえない大人の事情があるのでしょうね。
■"とても有名な話"を記事にした理由
昔々、僕の友人が「沈黙の戦艦」がおもしろかったので、あとあとレンタルで出ていた"沈黙シリーズ"を見て、「最初のはおもしろかったけど、あとの"続編"はそのぜんぜんおもしろくなかった」と言っていました。
それを聞いて、映画ファンが1人無くなりそうな気がしたので、"沈黙シリーズ"について、本当の"続編"ではないのだという話をしたことがあります。
僕の友人のように、せっかく興味をもったのに間違った情報(あえて"間違った"と言ってしまいたいです)のために、興味が育っていかなくなる人がいると残念です。
インターネットの片隅ですが、それでも何人かの人の目にはふれるかと思うので、分かり切っていてくどい話題だと自分でも感じてはいても、ここでも説明しておきたいと思ってしまいました。
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コメント
いわゆる「沈黙シリーズ第2弾」と銘打たれた「沈黙の要塞」が
前作とはつながっておらず、
「暴走特急」が正式な続編である……という話は知っていたのですが、
その後もこんなに「沈黙シリーズ」が続いていたとは(苦笑)。
たとえばレンタルビデオ店に並んだ時
「間違えて」借りてしまうだろう、という、
タイトルをつけた人の意図を感じてしまうようなことは、
私もしばしばありました。
そういう事情があるのは想像に難くないのですが、
やはり本来じゃないよな……
とは思いつつ、なおも出ているようですね、
「沈黙シリーズ」(笑)。
投稿: いぬがみ | 2007.10.24 09:58