中秋の名月
本日9月28日は中秋の名月。
僕が小学校の頃、うちの実家の方では、家々に飾ってある月見団子を、子供達が夜に盗み食いして回ってもよい風習がありました。
うちの人に見つからずに団子が取れるよう、長いL字型の太めの針金のようなものを持っている子もいました。離れたところに隠れて、その先で団子をひっかけようというものでしたが、僕はその "特殊用具"が使われているのを見た記憶はありません。
その日だけは子供達は少々夜更かしが許されます。
僕らは片手に懐中電灯、もう片方には戦利品の団子を入れるビニール袋をにぎって、あっちの家から今度はこっちの家へと数人ずつのグループを組んで駆け回っていました。
途中、途中で道ばたに集まっては、どこそこの家は団子が取りやすいとか、あそこの家は2階に置いてあるから無理だとか情報交換をしてから再び各方面へ散っていったものです。
家によっては、子供達が来るのを待ってくれているおばあさんがいたりして、団子だけでなく、お茶を出してくれたり、他にお菓子もくれたり大事にしてもらった記憶があります。(そのおばあちゃんは、もうずいぶん前にお亡くなりなってしまったけど)
自宅を出るときには、母親から「全部取ってきたらあかんで」って注意を受けていましたから、取りすぎないようにすることも忘れませんでした。たくさん取りすぎたと感じたときなどは、少し団子を元に戻したりして。
おやじの昔話だと思うでしょうけど、かつてはそうやって生活の中で気の使いようを学ぶことができる半自動的なシステムが存在していたように思います。
小学校のころは自分の行動範囲に「信号機」が存在しなかったような田舎のことですから、そのころすでに過疎化の動きは始まっていました。僕らのときの小学校の卒業生は11人でしたから。
当時はその人数をもう下回ることはないだろうと大人の人達は言っていましたが、その後僕の妹たちが同じ小学校を卒業したちょっと後には、新入生が9人という事態が起きていました。
今はどうなっているんだろう?
今ではたぶん、夜陰に紛れる忍者のようにあの道を走り抜けていく子供達はもうほとんどいないと思います。
僕らが走り回った道のいくつかはまだ残っていますが、ある道は潰され無くなり、広い国道になりました。残っている道も含めて、当時と決定的に違っているのはすべての道がアスファルトになったことです。
唯一変わらないのは、その夜、空に浮かんでいた月だけですとかってかっこよく結ぼうと思っていたのですが、よく考えるとその月の表面にもアポロが着陸したりして、僕らが見ていた月とは厳密に言えば変わってしまっています。
変わらないものなんてないんだなぁと、しみじみと思ったりする…
うちの方では夕方から雨のようです。今夜は月を見ることはできないかもしれません。
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コメント
はじめまして!まったく変わらないものって確かにないかもしれませんね。哀しいことですが、、
そうやって成長していくんですかね。人間ってものは、、
なんちゃって!
投稿: オレンジペコちゃん | 2004.09.28 21:38
オレンジペコちゃん、いらっしゃいませ。
夏休みの朝のラジオ体操もずいぶんとノスタルジックな思い出ですよね。僕も共感できます。
僕の実家は山の中なので、夏の早朝には山鳩の「ホー・ホー・ホッホー」って鳴き声も懐かしく思い出します。
わかるかなー?
投稿: ミッ君 | 2004.09.29 19:36