「にっぽん」と呼びたい
この国の呼び名は、国内でも「にっぽん」と「にほん」という二通りの呼び名が存在します。
自国の名を自国の言語で呼ぶとき、複数の呼び名が存在する国が世界にどのくらいあるのか知らないのですが、けっこう珍しいのではないかなぁ?
個人的には「にっぽん」という言い方が好きなのですが、前後に付く言葉によっては「にほん」と発音した方がごろがよい感じがするときがあるので困ったものです。
以前、海外旅行をしたときにベルギーの人と知り合いになりました。
最初、彼にどこから来たのかを尋ねたとき、彼は僕らの耳では "ベージャン" としか聞こえない言い方をしましたが、それがどこなのか僕らにはすぐにわかりませんでした。
どこだろう?と思って何度かつぶやいているうちに、"ベージャン→ベルジャン→ベルギー"というふうに思い至りました。
「あぁ、ベルギーか!」と僕がようやくわかったという感じで言うと、彼はにたりと笑って "yeah, 「ベルギー」" と言いました。それも、 「ギー」の部分を強調して、唇を左右にひっぱり歯をむき出してそう言ったのです。
つまり、彼は日本人が自分たちの国を日本語で言い表すときにはなんと言うか知っていて、僕らが迷っているのをおもしろがって見ていたというのが真相でした。
"ベルギー"という呼び名は日本語での呼び名であって、彼らはそうは呼ばないんだとあらためて感じることができ、僕には興味深い体験でした。
ひるがえって、たとえば日本人が英語を使うとき、自分の国を "Japan" と呼ぶことがほとんどではないでしょうか。
でも、それは英語という言語での表現であって、日本語では自分の国を "Japan" と呼んだりはしません。
「にっぽん」とか「にほん」という言い方を知らない人にそう言うと説明しないといけなくなって面倒くさいので、 "Japan" と言ってしまった方が楽でよいという気持ちはあるかと思います。
外国の方と話すと、彼らが自分の出身国に誇りや愛情をもっていると感じられるときがあります。僕はそんな人をうらやましく感じます。
理由が自分でもよくわからないのですが、日本人である僕は日本という国にいまひとつ強い誇りや愛情をもつことができないでいるからです。
そこへ加えて、二通りの呼び方があるというのも困ったものです。
しっかりとした誇りと愛情をもって、強い気持ちで自分の国の呼び名は自分の国の言語で言えるようになるにはどうすればよいのか。それがわかって実行できるには、まだまだ時間がかかるような気がしています。
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