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イトウは釣らないで

日本経済新聞の最終頁に掲載されている「文化」というコラム。日によって変わる執筆者が、興味深い話をそれぞれ読ませてくれるので楽しみにしている。

本日(2004年6月1日)の執筆者は北海道大学名誉教授の「山代昭三」さんという方。
山代さんは、サケ科の淡水魚で北海道に生息し、個体数がとても少ないため『幻の魚』とも呼ばれている「イトウ」の研究を続けておられる。研究を始めたのは1960年だったとか。
でも、そのころすでにイトウは希少だったとのこと。

研究の結果のひとつとして、イトウは産卵までに長い年月を要し、さらに産卵後も15年以上も生きることがわかった。

比較的長い生息期間のせいで世代交代に時間がかかり、そのために「種」として環境変化に対応するのも時間がかかる。それが個体数激減のひとつの要因だと。さらに、そもそも「イトウ」自体も縄張りを護るということをしない魚だそうです。
個体数を増やす研究の一環として養殖はされていて、何度か放流したりもしたそうですが、そうした性質のためになかなか増えないのだとか。

驚いたのは、「イトウ」には”禁漁期”がないのだそうです。『幻』と呼ばれるくらい少なくなっている生き物なのに…

山代さんたちは、4月~5月の産卵期だけは、せめて「イトウ」を狙うのをやめてくれるように釣り人に訴えているのだとか。
環境変化にとても敏感な魚だけに、釣り人がキャッチ&リリースしたとしても、「釣られた」という衝撃は彼らにとっては大打撃かもしれません。

釣り人だけが悪いのではないけれど、釣りをする人のなかには自然を愛する人が多いと思います。
40年前の時点ですでに希少だった「イトウ」が増えていくには、『幻の魚』を狙いたい気持ちはわかるけど、それはしばらく止めようとする動きも必要なのではないかなと個人的には思ったしだい。

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