型番フェチ
僕はさまざまなものの型番が何だか好きです。
たとえば、僕が使っている東芝のルームエアコンは、RAS-365JDRといいます。なかなか色気があってしっとりしたよい響きです。ただし、読み方にこだわりが必要です。「アールエーアス」ではありません。「アールエイエス」です。後者でないと、心地よい響きは生まれないのでご注意ください。
ちなみに、同リモコンは、WH-F1Jです。これは「ダブルエイチエフワンジェイ」と読んでください。間違っても「エフイチ」などと読んではいけません。
われわれ「型番使い」は、その読み方によって森羅万象全ての成り立ちを支配します。霊妙な型番の呼び名をマスターするのが、我ら「型番使い」の永遠の課題でもあります。
東芝のものは、雰囲気のよい型番が結構あります。同じように使っている洗濯機はTW-741EXです。これは「テェーダブル」と読んではいけません。「ティーダブル」です。
この「ティー」という部分の響きが胸の真ん中の奥の方をくすぐります。たぶん、恋人にそっと胸をなでられるとこんな感じがするのではないでしょうか。
買ったばかりのパナソニックのDVDビデオレコーダーは、ちょっといかつい感じが気に入っています。DMR-E100Hです。この場合、数字部分は「ヒャク」と読みます。「ハンドレッド」とか「ワンハンドレッド」などと読むと情緒がなくなります。初心者のときに犯しがちな誤りですのでよく覚えておきましょう。
「-」は、「ハイフォン」と読みます。「ハイホン」ではありません。「ハイフン」ではもっとダメです。「ハイフン」ではまるでケンミンです。「お母ちゃん。ケンミンにしてな」とか言わないといけなくなります。(これ、わからない人は無視するように)
「-」は、その生き様がとても自由な美しい存在です。時に主張をし、時には気づかぬほど密やかに型番の中にたたずんでいます。そのときどきの状況とムード、民族的慣習によって「ハイフォン」と読むか、あるいは声に出しては読まずにその存在を大いなる霊感として感じ取るだけにします。全く読まないのは論外ですが、やたら声に出して読むのも品位に欠ける行為です。
あまりおもしろくないと感じているのはソニーです。
衝動買いしてしまった液晶カラーテレビの型番はKLV-15SR2です。これは「ケイエルブイジュウゴエスアールツー」と読むのが正しい「型番使い」の証です。「ハイフォン」は読みませんし、最後は「ニ」ではありません。ましてや「ニィー」などと母音を伸ばしたりするのは愚の骨頂です。
この型番では、冒頭の「ケイエルブイ」という部分にいまいち美麗さの不足を感じるのが惜しいところです。ソニーさんにはなおいっそうの精進を期待したいところです。
我ら「型番使い」は世界のどこにでもいます。ほらっ、あなたのそばにもきっと
| 固定リンク
コメント